2026年11月にIJU Case Reportsで報告された筋層浸潤性膀胱癌の症例。EVとペムブロリズマブ併用療中に偽進行が認められたが、最終的にpCRを達成。画像評価は臨床症状と併せて総合的に判断する必要がある。
2026年11月、国際泌尿器科学誌「IJU Case Reports」に注目すべき症例が報告されました。筋層浸潤性膀胱癌患者が、恩福韦定(EV)とパボルリズマブの併用療法を受ける過程で、画像検査上で腫瘍の増大を示す「偽進行」が認められましたが、最終的な手術病理では病理所見完全缓解(pCR)を達成しました。本症例は、免疫併用療法における偽進行の臨床的意義を示す貴重な知見です。
偽進行とは何か
偽進行(pseudoprogression)は、免疫チェックポイント阻害剤治療中に生じる現象で、CTやMRI上は腫瘍の増大や新規病変が認められるものの、実際には免疫細胞の腫瘍組織への浸潤による炎症反応であり、真の疾病進行ではない状態を指します。PD-1/PD-L1阻害剤治療において比較的多く観察され、特に治療初期に発生しやすい特徴があります。
偽進行と対をなす概念が「超進行(hyperprogression)」です。治療後に腫瘍が急速に増大する現象ですが、画像所見は類似していても臨床的意義は正反対であるため、正確な鑑別が極めて重要です。
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本症例のポイント
本症例の患者は筋層浸潤性膀胱癌(MIBC)で、EVとパボルリズマブの併用新辅助療を受けたものです。EVはNectin-4を標的とする抗体薬物併合体(ADC)、パボルリズマブはPD-1阻害剂であり、両者の併用は局部進達尿路上皮ガンの重要治療法として確立されつつあります。治療中の画像所見は腫瘍増大を示しましたが、根治的膀胱切除後の病理検査では残存癌細胞は認められず、pCRが確認されました。
- 偽進行は過剰治療や手術機会の遅れにつながる可能性がある
- 免疫療法の疗效評価には臨床症状や検査指標との総合判断が必要
- EVとPD-1阻害剤の併用療法によるpCR率は複数の研究で裏付けられている
日本での医療を受ける患者さまへ
日本は泌尿器腫瘍の精密診療において豊富な経験を積んでおり、多くの医療機関で免疫療法関連の画像評価基準(iRECISTなど)を習得し、偽進行と真の進行の鑑別に長けています。EVと免疫療法併用を予定される方は、多職種連携(MDT)体制を整えた医療機関を選択し、治療を通じて総合的な評価と個別化された意思決定を受けていただくことをおすすめします。
その後のフォローアップ
pCRを達成した患者さまにおいても、術後は医師の指示に従い定期的な膀胱鏡検査および画像フォローアップが必要です。膀胱は切除されていても遠位尿路の監視は依然として重要です。さらに、日本の一部の医療機関では膀胱ガンの全身管理において液体生検などの新技術も取り入れられ、再発の早期発見に貢献しています。
本記事は公開情報に基づく参考情報であり、医療アドバイスではありません。診療については医師にご相談ください。
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